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アフターコロナで日本の製造業が取り組むべきこと

デジタルトランスフォーメーションと海外展開

日本では緊急事態宣言が5月末まで延期され、コロナウィルスとの長期戦は避けられない状況です。世界でみてもアフターコロナ/ウィズコロナとして、ロックダウンを解いて経済活動の再開に動き出している国、新しい生活様式を試し始めている国などがあります。経済活動の再開はもう始まっていると思ってよいと思います。これからはいかに早く経済を回復させることができるかということに焦点が集まりだしています。

製造業は飲食店など一般消費者に直接販売している業種と比べて、コロナによる経済活動の停滞の影響が遅れてやってきています。自動車の生産ラインの休止はすでに始まっていますが、企業向け製造業界も大きなうねりが来ています。これから様々な対策をとらなければならないという状況だと思いますが、先ほどお話しましたように、すでにコロナ後をにらんで世界は動きだしているため、製造業の皆さんも目の前の対策をしっかりしつつ、コロナ後の準備を同時に進めなければなりません。

現在の混沌とし中で、マーケットの先を読むのは難しいですが、海外、特に中国とアメリカの製造業の動きをまとめつつ、今後のすべきことについて考察したいと思います。キーワードは

  • デジタルトランスフォーメーションのの推進
  • 海外企業との取引拡大

です。

デジタルトランスフォーメーション関連画像

中国の製造業

世界の工場となった中国の製造業は1月下旬の春節(旧正月)による操業の休止から、コロナ対策のロックダウンにより操業がながらく停止していましたが、3月からは稼働を再開しています。4月中旬の時点で、大企業で99%、中小企業では84%の生産が再開できているとのレポートがあります。国の主導により素早く生産を回復していますが、まだまだ制限された中での生産再開のため本格稼働まではまだまだのようです。短期的には早期の生産回復ですが、長期的にも新たな流れができはじめています。

  • 自動化・遠隔化
  • 企業間連携の強化
  • 技術・研究開発の強化

の3つです。

 

自動化・遠隔化

人的リソースに依存していたことにより、人が工場に来れないということで生産が完全にストップしました。キープレーヤーの1、2人が欠ければ生産ラインを動かせない企業も多く、多くの人が職場復帰しても、ラインの稼働を完全再開できない状態もあります。そこで、この人的依存の見直しが進んでいます。デジタル化/IoT化を進め生産ラインのスマート化を行います。また、工場器機をリモートで操作する遠隔化も導入することで、工場に人がいなくてもラインを稼働させることができる状態を作ります。

これらのデジタル化、IoT化はもともとは生産性の改善のための取り組みでしたが、早くから自動化に取り組んでいた鉄鋼メーカーが、今回のコロナ禍で早期に生産ラインを再開できた実績もあり、このような危機的状況にも強くなるということで、政府がより後押しをしています。

工場自動化画像

企業連携の強化

「日本の製造業の勃興はただ単に匠の精神によるものだったのか」という記事が中国メディアで掲載され、話題を呼んでいます。日本人のクオリティを極限まで追求する気質が日本製品の評価を高め、日本の製造業の勃興につながったと評する一方で、それだけではなく、企業同士の相互連携が強く、長期的な企業発展のための品質の高い製品を作ることができたことがよかったと評しています。そして、コロナによるサプライチェーンの分断により、大企業であっても製造・販売が成り立たない状況になり、中国ではいま、企業の連携を強化し、サプライチェーン全体としての相互連携やサプライヤーとの協業体制を築こうとしています。キーデバイスやキーテクノロジーをよりオープンに連携していこうとしています。

 

技術・研究開発の強化

コロナの影響によりというよりは、中国の製造業では以前から、技術力、研究開発力を強化していく取り組みを行っています。世界的な経済の停滞により、その強化をより強力に進めていこうとしています。

 

アメリカの製造業

世界一の感染者数となり、深刻なダメージを受けているアメリカですが、主に製造業の生産活動を示す先月の鉱工業生産指数は、前の月と比べて5.4%低下し、1946年以来、74年ぶりの落ち込み幅となりました。生産調整に入っている自動車業界ですが、「国防生産法」に基づいてGMの人工呼吸器製造を始めとする、フェースシールドやマスク、人工呼吸器などの医療機器の生産に乗り出しています。

まだ経済活動の再開に至っていない状況ですが、その中でもアフターコロナに向けた動きが加速してきています。

自動化・ロボット化

自動化・遠隔化・ロボット化

アメリカでも中国と同様に製造業の自動化が進んでいくとみられています。さまざまなイノベーションが始まっており、多くのアイデアが試験的に実施されています。生産ラインをリモートで操作する遠隔化も進められています。

サービスロボットも市場が活発になりつつあります。いままではサービスロボットの導入は3D(Dull(だるい), Dirty(汚い), Dangerous(危ない))の領域という考えがありましたが、これにDisease Prevention(感染防止)が加わった4Dへと変わり、導入が加速していきそうです。ロボットの製造には高度が技術が必要で、求められる製造技術も高度化されてきています。

 

グローバルサプライチェーンの見直し

今回のコロナ禍で、中国からの部品などの供給が止まり、アメリカの製造ラインが影響を受けたり、もの不足に陥るなど多大なる影響を受けています。そのため、アメリカでは世界の産業供給網の中国への依存度を引き下げる動きを加速させています。

アメリカと中国の対立もある中のため、アメリカの動きは顕著ですが、この動きはアメリカに限ったものではありません。EUの諸国も中国への依存度を下げる動きがあり、日本も国内回帰をうたいつつ、中国への依存度を下げる動きがでています。そして、米政府は日本のほか、オーストラリア、ニュージーランド、インド、韓国、ベトナムと共に、「世界経済の前進に向け」取り組んでいると表明しています。「今回のような事態の再発を防ぐための供給網の再構築」などが協議されていることを明らかにしました。

これはリスク管理の点では当然の動きで、供給網の多様化を進めようとしています。

 

まとめ

中国とアメリカの製造業の動きを中心に、日本の製造業がどのように動くのがよいかをまとめます。

海外展開の画像

デジタルトランスフォーメーションの推進

アメリカ、中国の双方で見られるように、製造業界のデジタルトランスフォーメーションが進み、製造ラインも自動化、遠隔化が加速していきます。このデジタル化の動きは2国に限ったことではなく、世界的な動きになることは間違いありません。

このような中で、日本の製造業もデジタルトランスフォーメーションを進める必要があります。デジタルトランスフォーメーションは何も人を減らすということではありません。より効率化するということ、そして生産管理などをより高度化、精密化していくということになります。中小の製造業ではラインのデジタル化以前に、パソコン環境の整備や、テレワーク環境の整備、業務管理のツールの利用などに取り組まなければならないところが多いと思いますが、今後の時代の流れとして早急に取り組んでいくべきです。

 

ロボット業界への参入

この自動化・遠隔化に関して、日本の製造業が考えるべき点がもう一つあります。製造ラインのデジタルトランスフォーメーションにより、ロボット化が進みます。また、先述したようにサービスロボット市場も活発化してきているため、ロボット市場というのは急拡大すると思われます。今後、ロボット業界で様々なイノベーションが生まれてくるものと思われます。またハードウェアとソフトウェアの融合も進り、ハードウェアではより先端技術が求められるようになります。

日本にはこのロボットに活用できるであろう先端技術が多く眠っています。中小の製造業の中で活用できる技術が多くあるため、このロボット産業への展開を視野に入れて、流れに乗ることが重要になると思います。

 

海外展開への注力

世界的にサプライチェーンの再構築の動きがあり、1国(中国)への高い依存度を見直す方向に動いています。国内回帰の動きがありますが、脱中国をはかりながら供給網を多様化する方向へと動いています。さらにより高度化された技術、高い品質が求められているため、長年にわたり技術力、高い品質の製造力を蓄えてきた日本企業には大きなチャンスがあります。

脱中国を図り、より高度な技術を求めている世界のハードウェア会社との取引を獲得していくことで、シュリンクし続ける日本のマーケットの売り上げ減を補完することができるだけでなく、マーケットの多様化により、今回のコロナのような危機に対するリスクを分散することができます。

いま世界的に動きのある中で、日本の製造業、特に中小の製造業は世界のマーケットを狙っていくことを検討し、実行していくことが重要です。

 

 

 

Written by 日比 章善

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