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5Gは製造業の進化のチャンス?

ものづくり白書が2020年5月29日に経済産業省から公表されました。その中で「デジタルトランスフォーメーションの推進」はものづくり改革の重要なポイントとされ、5Gについては「製造現場における5Gの活用の期待」という表現で活用イメージが書かれています。日本では5Gは、2020年3月にサービス開始されました。

今回は、ようやくスタートした5Gが、主に製造にどう関連するか考えてみます。

5Gとはどんなもの?

5Gとは、「第5世代移動通信システム」のことで、「超高速通信」、「超低遅延通信」、「多数同時接続」を実現することが特徴です。現行の4Gと比べて、通信速度は20倍、遅延は10分の1、同時接続台数は10倍を目指しています。

これによって、例えば8KやVRの映像配信、医療や建設などでの遠隔操作、自動運転、農業での自動監視、IoTなどが進化することが期待されています。

一方で課題もあります。超高速通信を実現するためには高周波数帯の電波を使う必要がありますが、高周波数帯の電波は、建物などで遮られやすいです。雨や霧でも電波が悪くなります。まだ高周波数帯の特徴は未解析の部分があり、様々な実証実験が行われているようですが、現在のところは、狭いエリアにしか届きません。

このページからドコモの5Gエリアの資料を見ることができますが、そのタイトルが「5G通信利用可能施設・スポット一覧」です。エリアではなく施設・スポットなんです。施設単位だけでなく美術館の1Fとか店舗のみの表示になっています。実際にはもう少し届くのかもしれませんが、範囲の狭さは伝わるかと思います。

まだ実証実験中ですし、課題クリアのために基地局多数設置やソフトウェア・ネットワーク技術で複合的に改善する取り組みが進められています。しかし当面は「限定したエリア(建物の中など)での活用」がメインとなるでしょう。まだ「5Gで世の中が変わる」と言われていないのはそのためです。

製造業での5G活用イメージ

限定したエリアでしか5Gが活かせないのであれば、当面は製造業では工場内での活用になると思います。要はIoTやスマートファクトリーと言われている領域ですね。改めてどういう活用が考えられるか考えてみます。

まず、3つの特徴「超高速通信」、「超低遅延通信」、「多数同時接続」をもう少し具体的にまとめてみました。

  • 超高速通信:動画やVR・ARなど大容量データの伝送
  • 超低遅延通信:ロボットや設備のリアルタイムの遠隔操作
  • 多数同時接続:センサーや管理指標など多数のデータ収集

ここからブレーンストーミングのように発想を広げて活用を考えてみたものが以下の図です。

スライド20

5G以前から取り組まれているものも多々ありますが、5Gになると3つの特徴を活かしてもっと色々なことが同時にできるようになると期待できます。

ものづくり白書でも紹介されてましたが、オムロンでの実証実験の例です。

その他にもDMG森精機、ファナックなどの蒼々たる企業が実証実験を行っているとプレスリリースしています。

大企業だけではありません。

ひびき精機はHPによると96名の会社です。こういった中堅規模でも5Gの取り組みが開始されています

5G活用の主な課題や懸念

まだまだこれからではあるものの、中堅以下の企業が5Gを活用したスマートファクトリー推進をする上での課題を考えてみましょう。

①導入・維持コスト

5Gは一応低コスト化や省電力を目指しています。しかし、単一技術ではなくネットワークやソフトウェアの技術が複合化されており、簡単に低コストとは言えない状況です。

  • 端末は全て5G用に入れ替える必要がある
  • 端末だけでなく、プラットフォーム・ソフトウェアを導入する必要がある
  • 個別企業に合わせたやりたいことを実現するには、カスタマイズが必要

と考えると、簡単に導入するとは言えない状況と思います。

②通信トラブル

多くのことを5Gに依存すると、通信トラブルが発生してもラインが止まらないようにリスク対応する必要があります。

③セキュリティ

もしセキュリティをやぶられると工場の全情報が筒抜けです。これは怖い!セキュリティ対策には万全を期す必要があります。

そもそも多くの工場は、IoT技術者を抱えていないですよね。ベンダー依存もリスクありますしお金もかかりますし・・・。結局、人材確保・育成が一番重要な課題になると考えます

まとめ

5Gは工場のIoT、スマートファクトリーと言われているデジタル化の推進に期待ができる通信技術です。いつも私が書いている労働生産性の向上に大きく寄与できる領域です。

まだまだ実証実験中ですが、やれることはたくさんあります。

  • 情報収集は積極的に!
  • 工程のシンプル化と管理指標の見直し
  • 既存デジタル技術を使ってのデジタル化推進

こういったことを今からやらないと後れを取ることになりかねません。

私はRSSのアプリを使い、IoTなどの情報が流れてくるようにしています。無料ですし便利ですし、一度設定すれば手間いらずです。何か具体的に行動することをスタートしてはいかがでしょうか。

Written by 辰巳 竜一

中小製造業を応援しています! 辰巳工業株式会社元取締役、中小製造業向け経営コンサルタント(株式会社ヴィサイプ代表取締役)。家業の鋳物工場の成長させた実績から、現在は中小企業のブランディング(国内および海外)や事業戦略から現場改善への一連の統合した活動を支援。

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