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日進工具株式会社 後藤社長に聞く、『日本の製造業の今後、日進工具の未来』

ものづくりの現場で活躍する金型や部品の切削加工に用いるエンドミルのリーディングカンパニー

-日進工具はどういう企業ですか?

わたしども日進工具は、エンドミル(切削工具)を開発製造する企業です。
エンドミルというのは、モノづくりの現場で活躍する金型や、各種部品の切削加工に用いられる「工具」です
そこから生み出されるのはデジタル家電や電子部品、自動車など実に多彩で、わたしたちは、エンドミルが人々の暮らしを支える多くの製品を生み出していることに、誇りと責任を持っています。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)が当社の成長をけん引する

-これからの日進工具を取り巻く環境はどうなっていくとお考えでしょうか?

当社は、エンドミルの中でも6ミリ以下の小径エンドミルに特化しており、これから始まるスマート社会の発展には欠かせないものとなると考えています。

日本でも今年から徐々に通信規格が5Gに代わっていきます。

5Gは高速大容量通信が可能になりますから、IoT化(すべてのモノがインターネットにつながる)が加速し、大量のデータがクラウドに蓄えられるようになり、そのデータをAI(人工知能)で分析し、様々な新しいサービスが生まれていくでしょう。

このデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革する機運はデジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれ、VR(バーチャル・リアリティ)、遠隔医療、ドローン制御、自動走行、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)など様々な形で具現化され、スマート社会の基盤を形作っていくものになると考えています。

そうなると、その技術を支えるハードウェアの需要は増えていくでしょうし、機器や部品は高性能化・小型化し、より精密なものとなるはずです。

JEITAの調査でもIoT機器の需要は、あらゆる分野で増え、2030年には2016年比で2倍になると言われています。そうなると、その技術を支えるハードウェアの需要は増えていくでしょうし、機器や部品は高性能化・小型化し、より精密なものとなるはずです。
より精密な電子部品等をつくるために必要な技術として、精密加工・微細加工の重要性が高まり、わたしども日進工具の小径エンドミルは、精密な部品や金型をつくるのに欠かせないものになっていくと考えています。

わたしたち日進工具は、精密加工・微細加工における技術革新をエンドミルの技術で下支えすることで、これからも成長を果たしていけるものと考えています。

新型コロナウイルスの影響は、短期的にはあるが、中期的な成長は確信

―新型コロナウイルスの影響はどうお考えでしょうか?

新型コロナウイルスは中国を震源に世界中に広まっており、日本も厳しい状況に見舞われています。自動車業界のように中国での生産が停滞するなど、影響も出始めています。また、消費者の心理的な問題もあり、今後数カ月は経済活動が制約されるのは、わたしどもに限らず、あらゆる業界で起こることだと思います。

一方で、新型コロナウイルスは、テレワークや遠隔医療などの重要性を社会に認識させました。

デジタルトランスフォーメーションによるスマート社会への流れは、時期が少しずれることはあっても、止まることはないと思います。

そういう意味で、新型コロナウイルスの当社への影響は一過性に留まると考えていますし、中期的には順調に成長していくものと確信しています。

脱中国は進むが、世界の工場としての存在感は一朝一夕にはなくならない

-米中貿易摩擦の影響はどうお考えですか?

アメリカとの対立は中国経済にとって負の影響を与えているし、加えて新型コロナウイルスの影響で露見した中国依存のサプライチェーンの問題もあり、短期的に中国経済が減速することは十分あると思います。

そういう意味で、米中貿易摩擦は、グローバルバリューチェーンの再編を加速させると考えています。

既に、地域的な生産ネットワークはアジア、欧州、北米の工場に移行していますが、そこでも、中国は一帯一路構想に基づく、独自のグローバルバリューチェーンを構築しています。

脱中国という動きは出るかもしれませんが、グローバルバリューチェーンの再編において、中国のプレゼンスはまだまだ小さくはないと考えています。

ICT技術の導入と人材の確保が日本の製造業の未来を決める

-日本の製造業の今後についてお聞かせください

わたしたち日進工具も日本の製造業であり、日本の製造業は安泰だと言いたいところですが、すべての企業が安泰というわけにはいかないと考えています。

日本の製造業は、最先端の技術を取り入れる意識が強く、また勤勉で粘り強い国民性などにより高い評価を受けてきました。

しかし、ICT技術の導入が十分でない企業や自社の技術を自負するあまり、ロボットやIoT、AIなど先進ツールの活用が遅れ、国際競争力を弱めつつある企業も見られます。

加えて、少子高齢化による労働力人口の減少は、未だ3Kイメージの強い製造業の人材の確保を困難にしており、求職者に良いイメージを持たせることや、従業員の待遇改善をできない企業は、厳しい状況になるのではないかと考えています。

「つくる」の先をつくる

-最後に日進工具の未来像をお話しください

デジタル技術が生活やライフスタイルの中に入り込んでくる時代がすぐそばまで来ています。

幸い、わたしどもは、今後最も成長するであろうデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためのコア技術を支える製品をつくっています。

通信機器や画像認識、クラウドサーバー等に使われる電子部品やセンサーは小型化、高性能化される方向にあります。それに伴い、精密加工・微細加工を必要とする場面が増えており、わたしどもの製品はなくてはならないものとなっています

また、精密な電子部品の製造は日本の強い分野であり、お客様と密なコミュニケーションを取りながら研究開発を行うことができます。

そういう意味で、中期的な成長の絵を描くことができるポジションにあります。

2016年に、わたしどもは “「つくる」の先をつくる”というブランドステートメントを掲げました。

わたしたちがつくる製品は、それ自体は工具であり、エンドユーザーの皆様の目に留まるものではありません。しかし、わたしどもの製品が加工する精密な部品や製品は、自動車、家電、スマートフォン、カメラ、人工衛星に至るまで様々な用途で使われています。まさに“「つくる」の先をつくる”企業であるということです。

成長分野にポジショニングしている現状を踏まえ、業績の向上はもとより、今後はNS TOOLブランドの認知度を高め、より多くの方に知っていただくことで、投資家の皆様や、当社で働きたいと思う人たちを増やし、より高い成長を可能にしたいと考えています。

 

※この記事は2020年3月のインタビューをもとに作成しています

 

【参考】

ManuTech 日進工具サイト
https://www.themanutech.com/ns-tool/

日進工具 ブランドサイト
https://www.ns-tool.com/ja/for_crafting_tomorrow/

ブランドコンセプト動画
https://www.ns-tool.com/ja/for_crafting_tomorrow/about/index.html

日進工具 つよみ動画
https://www.ns-tool.com/ja/#modal_promotionmovie

IR情報
https://www.ns-tool.com/ja/ir/

JEITA調査統計ガイドブック
https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/pdf/executive_summary_2018_2019.pdf

Written by 栗本義丈

アルファ・ファンクション㈲ 代表

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