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製造業は外食業から学べ:ICT化

久々のシリーズ!って3回目ですが・・・。今回はICT化です。同じ中小規模でも外食のICT化は製造業より断然進んでいます。

製造業の方が進んでいる部分ももちろんあります。ただ、外食の方が変化しないとダメな理由があり、その説明は第1回目の記事の「なぜ外食業が製造業より進んでいるか」を参照してください。

外食業のICTはカオス

キャッシュレス、予約台帳、グルメサイト(マーケと予約)・・・。色んなサービスが飲食店の周辺にあり、それを提供する企業もたくさんあります。この記事には9つの分類のサービスがリスト化されています。

ここには書かれていない分類も多々あります。キュレーションメディアや旅行系グルメサイト、スマホ決済、オーダーシステム、コミュニケーションツール、会計、不動産紹介、クラウドファンディングなど他にも多数あり、これらを入れると虫眼鏡で拡大しないと見えないぐらいのサービスがあります。今の飲食店向けICT関連サービスは群雄割拠で、これから少し落ち着いてくると思います。しかし、美容院向けのホットペッパービューティーのように独占まではならないと思います。

飲食店も製造業のようにまだまだFAXの会社がたくさんあります。しかし、前提として厳しい環境にあり、加えてこれらサービスの営業がガンガン来ますし、キャッシュレスのように半ば外圧のように導入させられることもあり、かなりICT化が進んでいるお店があります。

集客のICT化

大半の飲食店は、新規顧客を確保することが重要で、競合がやたら多いので集客の取り組みは進んでいます。なのに外食業の話をすると、「B2Bの製造業とは違う。参考にならない」と反応されることがほとんどです。そういう会社に新規顧客獲得の話を聞くと「特別なことはやっていない。展示会とか・・・」といった回答が返ってきます。完全に思考停止していますよね。

大半の製造業を取り巻く環境は厳しく、また変化も激しいです。変化に対応するためにはいつものお客さんだけでは難しい状況になり、しかも新規顧客開拓は「ローマは一日にして成らず」です。今からできることを1年がかりのつもりで始めましょう。

そこで、外食業で行っていることと、製造業で参考になりそうなことをまとめてみました。

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あくまでも例ですので、鵜呑みにせず考える参考にしてください。よく聞くのが、コロナ禍でとりあえず「自社のHPを更新したい」という話です。今後の方針・戦略もなしにとりあえずHPを更新しても全く意味がありません。

改善のICT化

外食業はアルバイトで成り立っていますし、アルバイトの離職率は高いので教育や標準化は重要なのです。ここでは4つ事例をご紹介します。

がんこフードの接客のデータ化

大阪では超有名な外食業のがんこさん。なんと10年近く前から仲居さんにセンサーを付けてデータを分析しておられます。

例えば動線ですが、厨房近くにいるよりお客さんの近くにいる人の方がお客様満足度が高いので、一人一人の動きを分析して改善ネタにしておられます。今ではセンサーの精度が上がり、お辞儀の角度までわかるようになり、評判のいい仲居さんの動作まで分析しています。

この活動を推進しておられる副社長の新村さんは、産業総合研究所や立命館大学食マネジメント学部で客員教授をされているサービス工学の専門家です。私のぐるなび時代に新村さんと直接お話しする機会がありましたが、IEのことをよくご理解され、製造業以上の改善をされておられました。

某飲食店の動画による作業分析

厨房にカメラを付けて厨房スタッフの動きを分析している中規模チェーン店があります。足の位置、振り返る回数、料理を出すまでの時間・・・。こういったことを分析するだけでなく、顧客満足度の調査結果との相関も分析しています。

最近、AI含めてこういった動画解析の事例が飲食や小売で増えています。カメラとソフトの金額が下がったからですね。製造現場でここまでやっているところはなかなかお目にかかれません。

ゑびやの来客予測システム

伊勢神宮近くの老舗の飲食・小売業の「ゑびや」さんですが、ここは本当にすごいです。なんと的中率9割越えの来客予測システムを作りました。

天気予報、曜日、近隣の宿泊状況、イベント情報、自社が出すWEB広告などのデータから来客数を予測します。例えば、「雨の日は名古屋方面からのお客さんが多く来店し、名古屋方面のお客さんはこのメニューを好むから食材の仕入は多めにしよう」ということを予測し、数値化します。さらにそれを自動発注までつなげているのです。その結果、

・機会損失が減り、在庫や人のムダが減る
・業務効率が上がる(他のPOSなども含めて)

といった効果が大きく出ます。いつも生産計画情報に振り回されている製造業の方々、負けていられませんね。

ゴールデンマジックのSNS的eラーニング

飲食店はアルバイトが多く、しかも学生の卒業などで入れ替わりも必ず発生します。しかしながら、入れ替わられると大変なので、定着のための教育(スキルアップや面倒を見てもらっている感覚につながる)と即戦力化を狙った教育が必要になります。即戦力化は改善してシンプル化・標準化を行い、それをコンテンツにしてちゃんと教えることが重要です。

ゴールデンマジックでは、動画をナレッジとして蓄積し、一番素材としていい動画をマニュアル代わりに使い、しかも指導履歴も動画にして蓄積する仕組みを使っています。

ぐるなび時代に山本社長にじっくり話を聞くチャンスがありました。動画で気軽にできること、教育担当も含めて仕組み化することが重要とおっしゃっていました。

製造業は伝統産業なので、こういった気軽さやコミュニケーションを大切にしたICT活用はあまり進んでいないと思います。動画マニュアルは見かけるようになりましたので、それをもっとうまく活用できるといいですね。

まとめ

追い込まれて競争が激しく、若い人が経営している産業は進化が早いです。外食はさらに寡占になっているツールもなく、経営母体が小さいなど簡単ではない事業環境です。学ぶべきコトは非常に多いと思います。

ものづくりは違う、日本は特別ですごい、といったつまらない否定的な考え方は変えて、いいところを探して見つけて活用しましょう。

Written by 辰巳 竜一

中小製造業を応援しています! 辰巳工業株式会社元取締役、中小製造業向け経営コンサルタント(株式会社ヴィサイプ代表取締役)。家業の鋳物工場の成長させた実績から、現在は中小企業のブランディング(国内および海外)や事業戦略から現場改善への一連の統合した活動を支援。

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