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プロセス改善は「プロセス憎んで人を憎まず」

VSM value stream mapping Written on Green Key of Metallic Keyboard. Finger pressing key.

今回は改善活動のプロセスに対する考え方とツールについて書きます。

私の専門のリーン/シックスシグマは経営改革の方法論ですが、その核がプロセス改善です。特に欧米企業はプロセス改善を仕組みとして持っていて、その改善とERPシステム(基幹システム)やRPA(Robotics Process Automation:ソフトウェアによるプロセスの自動化)が連動しています。これについてはまた近いうちに書いてみたいと思いますが、プロセスの改善が前提なのです。

では、改善活動の王道であるプロセス改善で言うプロセスの部分に焦点を当てて、基礎の基礎をご説明します。ここに描かれているプロセスの重要性やプロセスマップを、言葉は違っても説明できないとプロセス改善を理解しているとは言えません。

なぜプロセスか

みなさんは、なぜ改善ではプロセスを変えるのか、明確に説明できますでしょうか。

①大前提:結果(アウトプット)を変えるにはプロセスを変える必要がある

当たり前の話です。結果だけを見ていても何も変わりません。結果を変えるには、結果を生み出すプロセスを変える必要があるのです。CMMI(Capability Maturity Model Integration:能力成熟度モデル統合)というソフトウェアの開発品質レベルの思想そのものですね。

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②プロセスを変えることが手っ取り早く確実

品質管理のフレームワークである4M(Man,Machine,Method,Material)を考えてみましょう。どれが変えやすいかというと「Method(方法)=プロセス」です。

Man(人)のスキルを上げたり体制を変えるのは大変ですし時間がかかります。Machine(設備)を入れ替えるなんて金も時間もかかりますよね。チューニングレベルで何とかなることなら、だいたい日常で調整しています。Material(材料)は仕入先に改善をしてもらったりサプライヤー開発をすることを考えると大変ですよね。手っ取り早く変えやすいのが作業のやり方(プロセス)を変えることです。

さらに「ミスをするな」と人を怒るより「ミスをしないプロセスにする」方が確実です。製品の品質を作業者の注意力に委ねることには限界があります。これが「プロセス憎んで人を憎まず」の理由です。

③プロセスを磨き続ければ、誰にもマネできない競争力にも昇華できる

オペレーショナル・エクセレンスという言葉はご存知でしょうか。2000年代あたりに海外で流行した考え方で、オペレーションがピカピカに磨かれて競争優位になることを言います。分かりやすい実現企業例はサイゼリアです。細かな工夫が色んなところにあり、それだけ数多くの改善が行われてシンプルなオペレーションを構築しています。マネもそう簡単にはできません。ファミレスでサイゼリアの価格と味を提供できるところは未だに出てきていません。サイゼリアの人を引き抜けばできるというレベルではないからです。

プロセス改善を突き詰めるとサイゼリアのような状態を作ることができます。しかもそこまで行けば業務システムもシンプルにできます。

基本はプロセスマップを描くこと

千里の道も一歩から。まずはプロセスを図示するツールの理解から始めましょう。プロセスを図示するためのツールは色々ありますが、すべての基本はプロセスマップです。この後にご紹介するバリューストリームマップや、製造業でよく使われているマンマシン分析、連合作業分析などの分析手法も、プロセスマップが基本になります。

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これは実際にお客さんが作られたモノを少し加工したものです。見れば分かるものなので細かく説明しませんが、主な内容は以下の通りです。

  • 誰が何をするかわかるように、箱と矢印で左から右へ業務の流れを示す
  • 左の列で役割、上で大まかなプロセスを示し、中に詳細なプロセスを描く
  • 細かさなどは目的に応じて変える

プロセスマップは万能です。私の中では三種の神器の一つです。以下のような目的で使用することが可能です。

  • 現状の業務を示す
  • 業務の問題点、改善点、問題原因を洗い出す
  • 改善後の業務を示す
  • 作業手順の全体像を示す
  • 部門間で業務内容を共有する
  • データと組み合わせて問題や原因の分析を行う
  • システムの要件定義に使う(業務フローと同等)

私はとりあえず書きます。半分クセみたいなものです。

日本発グローバルスタンダードなバリューストリームマップ

バリューストリームマップは、日本発なのに海外の方がよく使っているツールです。その名の通り、価値のつながり(バリューチェーン)を図式化したもので、モノと情報の流れを中心に流れを書きます。元々はトヨタ生産方式の手法の一つで、トヨタでは「物と情報の流れ図」と言うものです。それが海外に渡り、リーン生産方式のツールとして普及しました。

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これ、ちゃんと使うとすごいです。全体像を把握して問題点や改善するプロセスを特定するのに有効で、特にリードタイムを短縮するのにものすごくわかりやすいです。

課題設定や改善点の当たりを付けるために描いてみましょう。

まとめ

最近システム開発の現場を見る機会がありましたが、プロセスがないところにERPを導入しようとしているので、とても大変に見えました。また、RPAの取り組みをしようとしていますが、そもそもロボットは万能ではありませんので、50も見積書のパターンがあるものを自動的に処理してくれるなんて難しいです。

時代の変化に対応するよう改革したり、新しいシステムを入れるようとするにも、プロセスの把握や改善は必須です。海外では標準化とプロセス改善が仕組化されているので変革が早いのです。

プロセス憎んで人を憎まず」の精神で、徹底的にプロセス改善して業務をピカピカにしましょう!

Written by 辰巳 竜一

中小製造業を応援しています! 辰巳工業株式会社元取締役、中小製造業向け経営コンサルタント(株式会社ヴィサイプ代表取締役)。家業の鋳物工場の成長させた実績から、現在は中小企業のブランディング(国内および海外)や事業戦略から現場改善への一連の統合した活動を支援。

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